サウンド・オブ・ミュージックより
R・ロジャース/R・R・ベネット編
 「サウンド・オブ・ミュージック」は1959年に初演された有名なブロードウェイミュージカルです。実に1443回のロングランを記録し、1965年にはジュリー・アンドリュース主演で映画化もされました。「ドレミの歌」をはじめ、有名な曲の多く含まれていますので、物語は知らなくとも使われている旋律をご存知の方は多いかもしれません。
 以下あらすじを駆け足で紹介いたします。
 舞台は1930年代のオーストリア、ザルツブルク。妻を亡くした退役軍人のトラップ大佐には7人の子供、今まで何人もの家庭教師を困らせてきた問題児たちです。一方、ノンブルク修道院の尼僧見習いのマリアはたいへんなお転婆。明るく素直な彼女は皆に好かれてはいるのですが修道院の規則をやぶってばかりいてこちらもまた問題児でありました。もてあました修道院長はそんなマリアをトラップ一家の家庭教師として派遣します。
 いたずら好きのひねくれた子供たちと、妻を亡くしてふさぎがちだった大佐とは、やがてマリアの人柄に心を開いてゆきます。そしていつのまにか、マリアと大佐とは互いに好意を抱くようになります。もともと大佐には男爵夫人(エルザ)という婚約者がいましたが、これに気付いた彼女は身をひきます。マリアと大佐は結婚します。
 しかし時代は第2次大戦前夜、オーストリアはナチス・ドイツに併合されます。愛国者であるトラップ大佐はナチスからドイツへ協力せよとの圧力をかけられ、亡命を決心します。一家はナチスの追跡を逃れ、アルプスの山を越えてスイスへ亡命します。

このサウンド・オブ・ミュージックを吹奏楽用に編曲した作品はいくつかありますが、BAGではR・R・ベネットの編曲のものを演奏しました。ベネットはもともとこのミュージカルの音楽のオーケストレーションを担当した人で、ブロードウェイミュージカルの編曲者として知られています。また吹奏楽のための作品も作曲しており、「バンドのためのシンフォニックソング」や「古いアメリカ舞曲による組曲」が有名です。

サウンド・オブ・ミュージック(Sound of Music)
 最初の部分でマリアの歌うテーマ曲です。劇中の他の箇所でもたびたび使われています。
二人の愛(How can Love Survive?)
 男爵夫人による歌。名高い恋というものは試練をのりこえたもの。互いに金持ちで間に障害のない私たちの愛をつなぎとめることができるのでしょうか?と歌われます。
ひとりぼっちの羊飼い(The Lonely Goatherd)
 山の上の羊飼いの少年のお話。映画では人形劇の場面で使われています。
わたしのお気に入り(My Favorite Things)
 つらいときには自分の好きなものを思い出しなさい、とマリアが子供たちに教えて歌う歌です。
もうすぐ17歳(Sixteen Going on Seventeen)
 トラップ一家の長女リーズルとその恋人ロルフの歌。親オーストリアの父上も心配だが本当に心配なのは君だ。なんといってもまだ16歳、変な男にたぶらかされるかも。だから年上の僕が面倒をみてあげなくては。という歌です。
さようなら、ごきげんよう(So Long, Farewell)
 パーティーから子供たちが退場するときに歌う歌です。
ドレミの歌(Do-Re-Mi)
 マリアが子供たちに歌をおしえるそのいちばん初めにうたう歌です。
エーデルワイス(Edelweiss)
 ナチスの監視下、音楽会で歌われる歌。モ Bless my homeland forever モ(永遠に祖国を祝福したまえ)で終わるオーストリアを讃える歌です。
ふつうのカップル(An Ordinary Couple)
 マリアと大佐の歌。「ふつうのカップル、歳月を乗り越えて、お互いを抱きしめて、子供たちも共に、みんな抱きしめる」という歌詞の歌です。
誰にも止められない(No Way to Stop It)
 男爵夫人と友人のマックスが、大佐にもっと楽にしてあからさまにナチスを嫌わないで妥協して味方のふりをしなさいよ、と言う場面での歌。
マリア(Maria)
 マリアは本当に困った子、という内容の歌。修道女たちが遅刻したマリアをさがした後に歌い、後にはマリアの結婚式でも合唱されます。
すべての山へ登れ(Climb Ev'ry Mountain)
 尼僧見習いの身で大佐に恋心を抱いてしまい修道院へ逃げ帰ったマリアを励ます、修道院長の歌。またミュージカルのフィナーレにも使われています。

参考文献:
『ボーカル・スコア サウンド・オブ・ミュージック』(ヤマハミュージックメディア)