メキシコの祭り〜メキシコ民謡による交響曲
O・リード
 オーエン・リードは1910年ミズーリ州オデッサの生まれ。1948年に作曲した「交響吹奏楽のための黒人霊歌」でグッゲンハイム財団奨学金を得て1948年からその翌年にかけてメキシコに滞在し、民謡の研究にあたりました。この「メキシコの祭り」はリードがメキシコ滞在中に集めたメキシコ民謡を素材に作曲され、1950年ウィリアム・サンテルマン指揮、ワシントン海兵隊バンドにより初演されました。

第1楽章「前奏曲とアズテックダンス」

 真夜中、祭りの始まりを告げる教会の鐘が鳴り響くと静かな雰囲気は静けさを破る花火、ファンファーレとともに盛り上がっていきます。遠くのほうからバンドが闘牛場の歌を演奏しながら近づいてきて一気に陽気なものとなり、そのまま激しいアズテック舞曲に突入します。アズテック舞曲は作曲者がメキシコ政府編集の「土着民の音楽」から見つけたもので、羽飾りと仮面をつけて踊られるダンスだそうです。
第2楽章「ミサ」 
冒頭は第1楽章と同じく教会の鐘で始まりますが、陽気な祭りではなく厳粛なミサを表わす曲であるため、雰囲気はがらりと変わります。この楽章ではグレゴリオ聖歌集の「Liber Usualis」からとられた旋律がつかわれています。
第3楽章「カーニヴァル」
 最終楽章は題名通り、陽気な曲です。中間部ではマリアッチの音楽「ラ・ネグラ」が演奏されます。その後は以前の楽章の主題が次々とあらわれ、曲を終えます。