吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」
伊藤康英
 この曲は海上自衛隊佐世保音楽隊より委嘱を受け1989年から1990年にかけて作曲され、1990年2月16日に岩下章二指揮、海上自衛隊佐世保音楽隊により初演されました。佐世保音楽隊の委嘱であったため、作曲者は鎖国時代にも外国への窓口として開かれていた長崎という地に着目し、キリスト教が禁じられる中、グレゴリオ聖歌(Gloriosa)が次第に訛っていった、日本語化したグレゴリオ聖歌(ぐるりよざ)、つまり隠れキリシタン達の聖歌を素材にその作品を作曲したそうです。
 曲は3楽章から成ります。第1楽章「祈り」はパッサカリアの形式で書かれており、主題と12の変奏曲の合わせて13の部分で構成されています。これは『13』というキリスト受難の数字にちなんだものです。第2楽章「唄」は龍笛により演奏が始まります。キリシタンに歌い継がれる「さんじゅあん様のうた」にヒントを得て作曲されました。第3楽章「祭り」は長崎の民謡「長崎ぶらぶら節」がテーマに使用されています。